大も小も同じ・・・大きな仕事も小さな仕事も同じように大切に取り組むことが成果に繋がると思っています。
例えば、支払い書類にすると説明しやすいので例に出します。
滋賀県の財務規則では、10万円未満の案件については、見積り合わせ(入札)を省略して、取引先の業者を自由に決めることが出来ます。その場合には、実施許可を取るための書類は、通常版(4ページに渡る内容)を1枚に纏めた省略版を使うのですが、この1枚に4枚分と同じ情報量が簡潔に組み込まれています。つまりは、金額の差があっても、取引を行うために必要な法令(財務規則)の数は変わらないのです。
うちの部の文書係(部員の書類をチェックする担当)と会計(経理)をしている私からすると、この10万未満の省略型の書類をきちんと作れない人は、10万以上の書類もうまく出来ません。またそのような人は実際に現場でも、色々と仕事の粗が見えます。確認事項を怠っていたり、守るべきルールを護れなかったり、人から教わったことを忘れて同じミスを繰り返したり、と、注意力とコミュニケーション力に欠けた様々な問題を起こします。
前の部長がその昔、書類が苦手だった私に「現場も書類も同じ」(だから頑張れ!)と繰り返し指導してくださいました。その時はなんのこっちゃと思ったし、書類を作っているより現場に出たかったので心の中では不平・不満も大層ありました。
ただ、書類が自分の武器になるまで上達して、物事を通すための根拠説明を書類で行いお金を動かせるようになった時、本当にその通りだと思いました。人・物を動かすためにはお金が必要であり、それは労働時間の対価でもあるという感覚も身につきました。金額により書類の作業や仕様を固めるまでの準備は差がありますが、一つの書類を作りあげるための精度は、金額により全く差異はありません。少なくとも私にとってはそうです。
また、良く考えられた説得力のある書類は均整が取れていて美しいです。日本語の文章としても、金額算定の内容も。手抜きや迷いがあれば、それはそのまま書類に表われます。ホチキスの綴じ方一つでも、その方の性質が表われます。書類は人に見ていただくものなので、専門用語を読み手が判る言葉で置き換えて説明しているかも重要です。自分本位では決していけません。想いやり、気遣い、そういった大切なことは人間関係と同じです。その人の思考が体現されるものですから、積み重ねが、その人への信頼にも繋がります。
こうやって決裁・認可を取った書類の内容(修繕・更新・発注等)を、担当者は責任を持って実施します。打ち合わせ、各方面との調整、スケジューリング、立ち会い、検査、支払いまで。イメージしたことをカタチにしていく作業は、舞台を創るのと変わらない、本当にそう思います。
先日上司から「書類のプロ」と言っていただきました。恐らくその言葉を戴いたのは、うちの部署では私が初めてだと思います。ありがたいことです。今も自分で満足出来る段階ではないですが、今後も鋭意努力して頑張り続けたいと思います。